9割たのしいゲーム感想

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トライアングルストラテジー 全ルート感想【ネタバレ】

この令和の世に突然スクエニから放たれた往年風のSRPG「トライアングルストラテジー」の全4ルート分の感想をまとめました。

最初にゲーム全体の感想を公開したかったんですが、何としてもシナリオの感想書きたいという熱量が上回ったためこちらを先に公開することになってしまいました。

シナリオ全体がものすごく良かったというよりは、キャラクターのドラマがしっかり描かれていて、しかもルートによってifの物語がたくさん見られるというのが私の求めていた面白さに近く、想像以上に最後まで楽しくプレイできました。

未プレイの方にこのゲームをざっくり説明しますと、ノゼリア大陸という世界を舞台にした資源をめぐる三国間の戦争のお話で、システムはFFTタクティクスオウガ風のクォータービューのタクティカルRPGです。

ストーリー終盤で主人公たち一向の戦局を大きく左右するような転機が訪れ、親友・嫁・執事の3人の提案から一人を選択することになります。
この時、一人を選ぶと一人とは必ず決別するというのがこのゲームの最大の見どころです。

要は「誰かの夢を叶えると誰かが夢破れる」というビターなエンディングが3種類あるわけですが、それにプラスして全てが最高になる大団円ルートもちゃんと用意されているので、ハピエン派の方も安心のゲームになっています。

とにかく決別シーンの信念のぶつかり合いがめちゃくちゃアツい。声優さんの熱演もあってすごいことになっています。
私の性癖の煮凝りみたいな眼鏡おじさん執事も大暴れする大変エキサイティングなゲームなので、一人でも多く興味を持っていただけると私が喜びます。

▼まだ自分の紹介記事がないので公式リンクを貼っておきます。

www.jp.square-enix.com

 

さて紹介はここまでにして、ここからはクリアした順【ベネディクト→ロラン→フレデリカ→真ルート】の順で感想を書いていきます。

 

▼ネタバレしかない感想はここから!

ベネディクトルート(Benefit)

最初にクリアしたのがベネディクトルートでした。

エスフロストと手を組んでハイサンドを滅ぼし、セレノアがノゼリアの覇者となる」のがベネディクトルートの大筋ですが、やっぱり3人の中だとこの案が一番現実味あるなと思います。分岐までの選択肢は凄まじかったものの、分岐後は一番マイルドで王道だったのではないでしょうか。

私はベネディクトのことをセレノアの熱血プロデューサーだと思ってるんですが(?)、終盤その熱血ぶりがいかんなく発揮され、しかもここまできたらセレノア様も覚悟がキマっているので、「何をしてでもやり遂げる」という気持ちが一体となってかなりアツい感覚が味わえました。
私も「俺が覇者になるんだよ!!」という気持ちが強かったので、私とのシンクロLVも高かったです。

特にアツかったのが、ラストバトルでハイサンドが繰り出す人形を目の当たりにして一旦撤退しようとするセレノアに対し、ベネディクトが「未知の敵を恐れて引き下がる者が、未知の未来に辿り着けるとお思いか」と一喝するシーン。

軍師なら撤退を勧めてもおかしくない局面なのに、この男はなんとここに来て根性論で突破しようとしてきます。ベネディクトとセレノア、どう考えても立場的に発するセリフが逆なんですけどド正論なんですよね。ここで引くような男は王の器ではないと。覇者となるためには時には果敢に攻めることも肝要だと。このセリフをこの局面で臆せずに言えるベネディクトはやはり有能な家臣です。

その根底にある想いが健全なものなのかはさておき、最初から最後まで信念と覚悟のキマった男だったと思います。

そしてベネディクトEDといえば、なんといっても最高なのがファイナル墓参りです。Benefit寄りの選択肢を選び続けているとびっくりするぐらい墓参りを見せてくる墓マイラーの鑑ベネディクト、エピローグでも最高の墓参りを見せてくれました。

ベネディクトという男は最後の最後までなかなか自分の感情を見せないんですが、ファイナル墓参りでついに「自分の目的のためにセレノアを利用した」という罪の意識があったことが明かされます。

そこに「自決は許さぬぞ」と止めに来るセレノア。デストラ様によくやったと褒めて欲しかった、と幼児のような感情を吐露するベネディクト。

からの、セレノア様の「よくやった、ベネディクト」。ベネディクトは真の主としてセレノア様に忠誠を誓いました~Happy End~

……というね、ま~~~~~~~~じで完全なる救いを見させられたという感じでしたね……
このエンディング、本当にベネディクトにとってはスーパーハッピーエンドですよ。その証拠にエンディングスチルのドヤスマイルよ。

最初見たときめっちゃ笑ったし今でも笑えるんだけどこんなに一人だけいい笑顔することある?その横のセレノアはまだしもフレデリカとの対比が鮮やかすぎるでしょ。

そもそもベネディクト自体についてなんですが、本当に私の性癖を固めましたみたいな男で笑いがこみあげるレベルでした。ことあるごとに主人の妻の墓参りに行きすぎな時点で私の原初の性癖・横恋慕センサーが反応していたんですが、ふたを開けてみたら主人の亡き妻に横恋慕していた上にその子供に執着しているというかなりハイグレードなだめんずだったので大の字になるしかなかった。(私の)歴史に語り継がれる存在になるよ。
本当にベネディクトは面白い男なのであらゆる人類に知ってほしいです。ロランとの決別シーンでセレノアにとどめを刺せって言ってくるのとかメチャクチャ面白かったし……。

あと、エンディングで言うと最後のロランとイドーですよね。当初は絶対ロランがじじいの操り人形にされるだけじゃん!!って思ったんですが、真ルートが終わってからだとイドーもロランの思想に対して思うところがあったのかなとかちょっと考えちゃいますね。
ロランも王家に向いてなさすぎるからある意味出家した方が正解なんじゃないかとすら思うし、意外と悪くないんじゃないかなこの終わり方。

ロランルート(Moral)

ロランルートの大筋は「ハイサンドに降ってエスフロストを倒し、女神教によって統一された平和な世界を作る」なんですが……

まず1週目の分岐でロランの提案を初めて聞いたとき「エ?」てなったのは恐らく私だけではないと思います。こいつ今までの話聞いてたんか……?
これまでのストーリーで散々ハイサンドのヤバさが語られてきたというのに何をどうしたらこの提案が出てくるのかわからず、半年教育してきた新入社員が教えてきたことを何も理解していなかった時のような絶望感に襲われました。

もうどう考えても納得できるエンディングにならないことが確定しているので、道中めちゃくちゃ気が重たかったです。

そんな中でラストバトルが良い意味で期待を裏切ってくれました。

グスタドルフは前座、最終決戦の相手はなんと大鐘砲で自ら溶鉱炉を爆破し祖国とともに死ぬ覚悟で戦いを挑んでくるスヴァローグ殿。溶鉄が流れるステージで敵も味方もダメージを受けながらの決戦。めちゃくちゃアツすぎてこれまでの欝々とした思いが吹っ飛びました。このゲームは本当にじじいの扱いが上手すぎる。

じじいが熱いゲームは名作

ロランに関しては終始「何だァ?てめェ…」感が拭えないんですが、ロランにもロランなりに相当の苦悩があったことと思います。どう考えても王家に向いた性質ではないのに自分だけが王位継承者として生き残ってしまって、自分より強い頼れる他者というものがハイサンドしかなかったのだろうなと。それでも自分ができることは何か、という道を考え続けるところはとてもえらかった(何?)ですね。最終的な選択はわけわかんないけど…

姿が見えなくても一人で戦い続けるフレデリカ(と、それに思いを馳せるジーラ)も良かったですね。セレノアとフレデリカには絶対一緒にいてほしいけど、フレデリカが一番一人でもやっていけると思うわ。

フレデリカルート(Freedom)

フレデリカルートは「塩湖のローゼル族を解放し、伝承でノゼリアの遥か南方にあると言われるローゼル族の故郷・セントラリアを目指す」という流れになっています。

ウォルホート家に嫁いでおきながらウォルホート家とノゼリアを捨てるというかなりファンキーな提案をしてくる嫁、さすが革命家の娘という感じです。私がベネディクトだったらこの女狐が…ってなってるところですよ。

私がベネディクト推しなのもあって、このルートはベネディクトとの決別がかなりキツかったですね。
メインの3人はそれぞれ問題を抱えているわけですが、ベネディクトはウォルホート家に関する問題なので文字通りセレノアしか救うことができないんですよね。
当初は分岐でキレるベネディクト絶対面白いじゃん!!ぐらいの軽い気持ちでしたが、決別しても最後までウォルホート家のために働く姿や、養子であるアンナや親友のエラドールとの別れはなかなか心に来るものがありました。

あとこのルートの見どころ(?)はなんといってもセレノアの死です。ここにきて主人公が死ぬとは思ってなかったわ。今思えば分かりやすいフラグがハイスピード建設されてたけど……。

しかし単身イドーを止めるセレノアに、セレノアの死後ウォルホート家の意志を継ぐ女となるフレデリカ、元敵国の軍師になってまでウォルホート家を守ろうとするベネディクトとかなり激熱な展開で、個人的にED後の想像も最も広がるルートでした。

ベネディクトどうなるんだろうと思ってたけど、確かにそうなるわなと納得しかなかったですね。敵国に渡ってもウォルホートはウォルホートだもんな……。

まぁフレデリカルートにツッコミどころがあるとすれば、このルートのロランは本当に何でついてきた?としか言いようがないところですかね……コーデリアはいいのか?わからん。お前がわからんわロラン……。

真ルート

3ルートを制覇したあと、満を持して真ルートをクリアしました。
真ルートは3人の希望を全部実現する、まさにセレノア様が全部抱くノゼリアのスパダリルートです。

さらに善良な人間は大体助かり、ラストは全プレイヤー待望のセレノア&フレデリカの結婚式で終わるという大大大大大団円。
最後の最後で信念の天秤というゲームシステムを全否定してくるところにかなりシビれました。

いや~~~3ルート終えてからの真ルートはもはや感無量としか言いようがないです。
3人の部隊が分かれて別々の作戦を実行するところで、3人の指揮官、つまりもしやこれがトライアングルストラテジーなのでは……!?と謎の感動を覚えました。

ラスボスは順当にイドーだったわけですが、ただの私欲にまみれた爺だと思っていたら最期に歪んでしまった者の悲哀を見せつけてきてより味わいが増しました。
セレノアが手を差し伸べた時一瞬助かるんか!?と、ラスボスは絶対死んでほしい派の私は恐怖しましたが、このゲームはじじいの扱いが上手すぎるのできっちり自分を曲げずに居城と共に沈没してくれました。本当によく分かっています。
イドーの選んだ道も歪んでいたとしても信念なので、手を差し伸べられたぐらいで瞬時にひっくり返るようなものじゃないんですよね。それにやっぱりじじいは己の城と共に沈まんとな。

じじいと言えば一番好きな挿話キャラはアーチボルトなんですが、しっかりイドーとの因縁のじじい関係性に掛け合いが用意されているのがアツかったです。

エンディングではベネディクトの心のケアもきっちり済ませてくれましたね。家を出て行こうとするベネディクトを引き留める時のセレノア様のアメとムチからの押してダメなら引いてみる、の流れが巧みすぎて笑った。ベネディクトの扱いうますぎて怖いよ。

あっさりてのひらで転がされるベネディクト

あとこれは本当~~~~~に個人の性癖になるんですが、真ルートはエグスアムがめちゃくちゃ最高でした。
エグスアムってこれまでは割と話が分かる「敵ながらあっぱれ」的なポジションのキャラクターだったと思うんですが、真ルートで急に核がむき出しになっちゃってびっくりにっこりですよ。

結局エグスアムにも国を変えたいという思いはあれど、彼にとっては「自分が」国を変えることが重要なのであって手を取り合うことは一生できないんだろうな、と思っていたらそれが如実に出た形になりましたね。

ただセレノアに勝ちたいというだけじゃなくて、とにかく絶対にセレノアより自分の方が優れているという形で決着をつけなければならない、地形的にも戦力的にも平等な状況で圧勝しなければならない、という点への執着が凄まじくて笑ってしまった。ものすごく筋が通ったキレ方だな。舐めプとかされようものなら憤死しそうこの人。

まぁセレノア様が最強スパダリだから絶対に無理と分かっている我らからすればひたすらに哀れさだけが増していくわけで、死の間際にお前さえいなければ……とか言い出した時は邪悪スマイルが止まりませんでした。

最高の死に様

今思えばこれまでのセレノアに対する「お前見込みあるな」風の認めている態度は、自分の方が優れているという自信があったからなんでしょうねきっと。実際認めてはいたんだろうけど、それがいざ追い抜かれるとなると急に足掻きだしちゃってあらあらまあまあニチャア……ですよ。

そんで戦闘終了後は特に触れられることもなく、イベントシーンの風景と化した死体。一気に最高の男になってしまった。惨めに死ぬ男は最高(最高!)

おわりに

このままだとエグスアムの死にざまに邪悪スマイルをさらした話でこの記事が終わってしまうところでしたが、とにかく最後まで期待を裏切らないゲームでした。

元々戦記物だったり、あるいはメガテンだったり、それこそ信念や思想のぶつかり合いバトルが一番好きなジャンルなので、好きな要素を思う存分吸うことが出来て満足です。

あとはやっぱりキャラクターがみんな良かったので楽しめたところが大きいと思います。キャラ同士のエピソードまで突っ込みだすと永遠に終わらないので割愛しますが、ウォルホート家箱推しにならざるを得なかったです。

色々と詰めが甘い部分も結構多かったけど、そこは続編が出たら絶対良くなると思うんだよなぁ。久しぶりに続編出てくれ!!と強く願う新作が登場したので、本当にプレイヤーが増えることを願うばかりです。