9割たのしいゲーム感想

ゲームの感想とか紹介とか、点数のないレビューみたいなもの。RPG/AVG/SLGなどをよくやる ※たまにネタバレ含みます

パラダイスキラー

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ナルシストのだめんずユーリくん、推しです

更新していなかった分の振り返り感想シリーズを引き続きやっていきたいと思います。

今回はオープンワールド推理ゲーム・パラダイスキラーです。

とある島で起こった殺人事件を解決するために、「捜査オタク」と呼ばれる主人公となり島の中を歩き回って証拠を集め、裁判で真相を解明する、という内容です。 

進め方は基本的に自由なので、裁判所に行けばいつでも裁判ができてしまいます。つまりゲーム開始直後からいきなり裁判に突入することも可能。 裁判に入ると銃を渡されて「犯人を特定して処刑しろ」と言われるかなりファンキーなスタイルのゲームになっています。

ただし証拠が集まっていないと犯人を特定できないので、普通に真犯人を当てようとすると納得できるまで証拠を集めてから裁判、というプレイにはなりますが、全てが自分に委ねられているところが面白いですね。

とまあここまでだと言うてシステムが面白い一般的な推理ゲーを想像するところですが、実際は想像をはるかに上回るクセの強さで畳み掛けてきます。

操作性はもっさり、ローカライズも「ギリギリ理解できる」ぐらいで混乱しがち。
推理要素を含むストーリーも面白くはあるものの「スッキリ!万事解決!」という方向性ではないため、正直世界観がハマらないとストレスが溜まるんじゃないかと思います。

どちらかというとシステムに惹かれるという人よりは、「神と悪魔」「破壊と創造」というようなキーワードに惹かれる人の方が楽しめるんじゃないかという内容でした。

ということで、ここからは世界観を中心に特に印象に残ったところを書いていきたいと思います。

■クセが強すぎるUI、難解で独特な世界観

なんといっても世界観がかなり独特です。正直開始してから序盤しばらくはなんもわかりません。
なんかわからんモノローグが流れた後、スタート地点から遥か下にある島まで飛び降りて着地と同時にタイトルバーン。
マジでなんもわからんまま、クセが強すぎる演出と共にクセが強すぎる判事(下画像参照)が登場。殺人事件解決を依頼され、そこからゲームが始まります。

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最初に出会う人間(?)がこれ

おしゃれ風クセ強UIの見づらさや、ただでさえよくわからん設定がやや難ありのローカライズによってさらに?????感を増してきます。
あまりにクセ強難解すぎて、序盤は「ちゃんと最後までプレイできるかなこれ…………」という不安さえありました。

が、証拠や証言を集めていくうちに徐々にこういう世界観だったの!?というのが明かされていきどんどん興味を惹かれていきました。

とはいえ私が事前情報なしで始めただけで、よく見たら公式サイトに↓こんな感じで書いてあるんですが…

パラダイスは数千年ごとに再生する島だ。そこではエイリアンを崇拝する者たちが堕落した神々に力を与え、いつの日か復活させるべく宇宙に向けてサイキックパワーを放っている。だがその力は各島を崩壊させようとする悪魔たちの興味を引いた。その悪行は議員が新たなリアリティを創生するまで続く——。

まあ読んでもよくわかりません!

おおまかに言うと、完璧なパラダイス島を作るために議会とシンジケート(島の運営に関わる上級国民みたいなもの)が一定期間ごとに島を破壊し、新しい島を作るというのを繰り返しているという世界観になっています。
数千人の庶民が島に連れてこられ、新しい島に変わる時に生贄として虐殺される、などという設定があります。
(つまり主人公を含むシンジケートと議会は不老・ほぼ不死)

このゲームのスタート時点では、次の島に移動する手前の段階(庶民は虐殺された後)で、まさに滅びの直前という状態なんですね。
さらにそこで起こった殺人事件により、議会のメンバーが全員死亡しています。

ゴージャスなリゾートを模した島内には主人公・判事・容疑者たちしかおらず、言うなればゴーストタウン状態。この「明るい廃墟」といった雰囲気は、世界観が見えてくるほど味わい深くなってきます。

なかでも絶妙に小汚い現代日本家屋がひしめき合う庶民住宅地や、団地の異質さは特に際立っていてえも言われぬ趣があります。

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昭和風のブロック塀が妙にリアル

■生殺与奪の全権を握りすぎな主人公

※犯人やストーリー上のネタバレはないですが、裁判~エンディングまでのシステム上のネタバレがあります

裁判に入ると銃を渡され、犯人だと思う人物を指摘した後に処刑するというのは冒頭のシステムの箇所でも書いたかと思います。

それだけでも「処刑!!?」とある種のカルチャーショックを受けたものですが、さらにこの後本作で最もシビれるポイントがあります。
なんと裁判で無罪にした後も処刑することができてしまいます。

裁判が終わると島を出るところまで自由行動時間になり、無罪になったキャラに話しかけることができます。そこで最後の挨拶という名の銃弾をお見舞いしてやることができるようになっているんですね。何で?
やっぱゴメン!みたいなノリで全員処刑できてしまう主人公の権限ヤバすぎの極致でしょ。各キャラクターとどれだけ仲良くなっていようが、親友だろうが、何の躊躇もなくボタン一つで即処刑です。何のための裁判だったんだよ。

しかも裁判で正しくジャッジしても、全員殺しても、エンディングが変わることはありません。
正しいジャッジが出来ていたのかさえはっきりと明かされることはなく、主人公はただ次の島に向かってゲームは終わります。

この何を選んでも変わらないエンディングというのも味わい深いんですよね。事件の真相も、主人公の今後も、次の島の行く末も、あくまで自分の解釈に委ねられたまま世界は進んでいくという。

そんでエンドロールで流れる主題歌がまため〜〜〜っちゃ良い…言葉にし難いほろ苦いエモさがあります。

この滅びと始まりの美、みたいなものが本作の一番の魅力じゃないかなと私は思います。

■80~90年代シティポップ風の最高なBGM

これはもはや個人的な趣味でもありますが、BGMがめちゃくちゃ良いです。未だに毎日サントラ聴いてますし、序盤よくわからなくて困惑する中で最後までプレイできたのはBGMが良かったからと言っても良いぐらいです。いい感じのシティポップが流れる中、独特な雰囲気のパラダイスを散策するだけでもう飯がうまいです。

BGMは電波塔みたいなオブジェを調べるたびに増えていくので、コレクション的な楽しみがあり、手に入れたBGMでプレイリストを作ることもできるようになってるのも良かったです。

■他にもいろいろ、独特なあれこれ

ここまで書いてきたほかにも、そこかしこに落ちている遺物という名の珍アイテムコレクションや、足湯につかると主人公がパワーアップして二段ジャンプできるようになるなどギャグなのか真面目なのか判断しづらいクセ強要素も色々とあります。

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変態 変態

ストーリー的な面でも犯人の犯行方法がエグすぎてドン引きしましたし、そもそも殺人事件と言いながら死んでる人数が多すぎるのも衝撃でしたし、心に残るポイントが非常に多かったゲームでした。
もしここまでしっかり読んでくださった方がいたらおそらく適正があると思いますので、おすすめしたいと思います。

■公式

なんだかんだプレイしてから結構時間経ってるのに、こんだけ文字数書ける自分にびっくりです。書きたいことがすごく多かったんだなあ。